MATERIALS TALK

徳島県 那賀川林材工業共同組合

瀬戸内の焼杉

焼杉とは耐久性を増すために、杉板の表面を焼き焦がし炭化層を表面に作ったもので、滋賀県より西の地域で使用される伝統技法です。
特に瀬戸内海の島々や沿岸で多く使われています。
海沿いの家の外壁に焼杉が多いのは、潮風の影響で劣化しやすい環境に適応するための選択だったといえるかもしれません。
焼くことで、炭化作用が起こり防虫・防腐の効果があり、耐久性がよくなります。
また、木材特有の調湿効果や遮熱・断熱効果も期待できます。


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徳島県は杉の産地で、吉野川南岸から剣山周辺は、全国でも有数の雨が多い地域で、水を含みやすい土壌は杉の生育に適しています。江戸時代から杉を中心にした林業が盛んで、明治以降は杉の植林が県下に広がりました。「徳島すぎ」は、樹齢50年を超えるものの割合が全国より多いのが特徴で、年毎に資源も熟成しています。

那賀川林材工業は、勝浦川河口にある焼杉をメインに製造している材木会社です。

エンケルヒュースの南(以下、南)が那賀川林材工業の橋本常務(以下、橋本)にお話を伺いました。

工場内にいっぱい並べてある材木は材木を乾燥させているんですよね?
そうです。うちの材木は板干しといって、天日で乾かすのがこだわりです。乾くまで2-3ヶ月かかりますかね。地域柄、海風とお日様の熱で良く乾きます。
天気のよい日はできるだけ平たくして干しますよ。
やっぱり、人工乾燥より天日干しのほうがいいのですか?
そうです。じわじわ乾燥する分、板があばれたり、節の縮みや割れは、天日干しのほうが少ないですね。
時間は掛かるけど、じわじわ乾燥させる事がいいのですね!
もう1つお伺いしたいのですが、焼杉はどれくらい持ちますか?
目安として言われているのは、木の樹齢の半分程度持つといわれています。
この辺の木は今、樹齢60年くらいの木が多いから、30年くらいは持つと思いますよ。
木って長持ちするのですね。
見た目は塗料が剥げたり、炭が落ちたりして、経年変化がありますが木自体はそれぐらい持ちますね。

倉庫に張ってある外壁の板は御社の塗装品の焼杉ですよね?資料によると平成13年施工となっていました。今平成30年だから17年経過していますね。
木は雨風でバクテリアが繁殖して黒く変色していくのです。
木の色がきれいですね。
うちの板は節の処理にもこだわっているからね。
どういうこだわりがあるのでしょうか?
節がどうしても抜けやすくて、板に穴が開いたりするのですが、なるべく節が抜けないようにパテ処理や、節がやせた部分に木屑をまぜたボンドを注入したりしています。
なるほど。そういう細かいところで違いが出るのですね。

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